コールセンター支援事業-都道府県別一覧

■北海道-コールセンター支援事業

相談支援と情報提供を目的として、北海道総合在宅ケア事業団においてメールでの相談を受け付ける体制を構築した。事業を開始したのは平成22年6月からである。

対象は訪問看護ステーション管理者・スタッフ、医療機関での退院調整・在宅療養支援の担当者、ケアマネジャー等の専門職である。訪問看護ステーションと関連する機関1362ヶ所(医療機関858ヶ所、訪問看護事業所217ヶ所、地域包括支援センター252ヶ所、ケアマネジャー連絡協議会34ヶ所、北海道看護協会1ヶ所)にパンフレットを送付し、事業のPRを行った。

メールでの受付は24時間対応とし、受け付けた質問は1週間以内で回答することとしている。訪問を終えてから問い合わせしてくることを考えると、17時過ぎの対応がメインとなると考えられるため、メールでの受付とした。

相談受付を開始してから、34件の相談があった。相談の種類や相談者の概要は以下のとおりである。

■相談の種類、相談者の概要等

種別 内容 件数
相談の種類 報酬・制度に関すること 24
業務に関すること 6
管理に関すること 3
その他 1
相談者の職種 訪問看護師(管理者含む) 30
病・医院看護職 1
行政職員 2
その他 1

相談はほとんどがメールでの対応となるが、電話やFAXの場合もあった。輪番制として、訪問看護ステーションの所長経験がある者4名が交代で相談に対応した。内容は医療制度や業務内容等についての相談であった。

「コールセンターチラシ」はこちら(PDFへ)

 

■茨城-コールセンター支援事業

茨城県看護協会土浦訪問看護ステーション内に訪問看護サポートセンターを設置し、月~金まで専属コーディネーターを1名配置(2名で交代制)し、訪問看護ステーションや医療機関、ケアマネジャー等関係機関からの相談に対応した。コーディネーター(2名)は、病院や訪問看護ステーションの管理者経験があり、訪問看護について豊富な見識と指導力を持ち、地域の保健・医療・福祉の実態に精通している人を配置した。

訪問看護サポートセンターで対応した相談・調整件数は、平成23年1月末現在1,386件であった。相談内容としては、訪問看護ステーションから「新規利用者が増えない」などの相談や、ケアマネジャーから「退院後の利用者について訪問看護を紹介して欲しい」「希望する訪問看護ステーションは受け入れが出来ない状況なので、他の事業所を紹介して欲しい」といった新規利用の相談、病院看護師からは「家族への在宅医療の指導をどうすればよいか」「退院患者の自宅に近い訪問看護ステーションを紹介してほしい」などの相談があった。

新規利用の相談も多く、平成21年8月~平成23年1月までの新規利用につながった相談件数は以下のとおりで合計60件である。うち平成22年3月が最も多く9件であった。新規利用者の状況を把握し、対応できる訪問看護ステーションの紹介及び調整を行い、実際の利用につながった。

また、相談を受けるだけでなく、サポートセンターの職員が地域に足を運び、地域内の様々な機関との「顔の見える関係づくり」に力を入れてきた。対象地域内の全訪問看護ステーションを訪問して、サポートセンターの業務を周知するとともに、必要に応じて相談に対応してきた。 また、各ステーションが得意とするケア等を把握して、新規利用者の紹介につなげるなど、地域内の訪問看護ステーションの情報を集約するべく活動した。また、医療機関を訪問し、訪問看護ステーションのパンフレットを配布する、ケアマネジャー協会の会合に参加するなどして、医療機関やケアマネジャーとの連携も深めてきた。

新規利用者の紹介に応じるため、常に地域の訪問看護ステーションのタイムリーな状況を把握できるよう、毎月各訪問看護ステーションからは「訪問看護供給状況報告」をFAXでサポートセンターに送信する仕組みを作った。訪問看護ステーションからの報告事項は、「利用者の受け入れ可能状況」「利用者数」「従事者数」などである。最初は、この仕組みに消極的なステーションもあったが、徐々に参加意欲が高まり、協力を得られるようになってきている。

「訪問看護サポートセンターリーフレット」はこちら

 

■静岡県-コールセンター支援事業

東部地区の問題は、ステーションの休止が多いこと、訪問看護が広がっていかないことがあり、ステーションの看護師がもっと市民に近づいていくということが必要と考えた。この中で訪問看護ステーションの業務である住民からの電話相談への対応ができていないということがあがり、コールセンター事業を実施することとなった。参加は20ステーションであり、コールセンターは月曜日から金曜日のため、各ステーションが月に1回程度担当することとなった。

実施体制としては、まとめ役が重要であることからキーステーションを1ヶ所決めて、キーステーションから当番のステーション管理者へ電話を転送することとした。キーステーションの条件としては、大規模で事務員を複数名置いているところとした。共通認識事項として相談対応はステーション管理者とし、相談内容で対応がわからないことはキーステーションに相談することにした。相談内容は2か月に1回の担当者合同会議時に共有した。中核的なメンバーは協議会の役員が主である。

コールセンターの周知については、電話相談の開始を知らせるために『電話相談始めました』の新聞折り込みチラシを地区別に配布した。今年度の配布枚数は8万5千枚程度である。今年度は東部全域で病院、地域包括支援センター、スーパーマーケット等でチラシを配布するとともに、タウン誌やラジオ番組でも紹介した。ラジオ番組で7分程度のインタビューに答えるなどし、周知効果は上げられたと思う。 

今年度は、家族や本人、嫁、介護者からの電話が多かった。平成22年4月からの電話の回数は以下のとおり。

一番多かった相談は、現在サービスを受けているがそこに不満があるという類のものであった。新規の訪問看護につながったのは5件程度であった。

■三重県-コールセンター支援事業

三重県看護協会を経営母体とする訪問看護ステーション「ナーシングヒルなでしこ」内にコールセンターを設置し、市民からの相談を受け付けることとした。受付は24時間とし、参加した12のステーションが交代で対応にあたった。

訪問看護師やケアマネジャー等の専門職からの相談ではなく、対象を一般市民としたことで、在宅療養に関する悩みや困ったこと等について、幅広く相談を受け付け、訪問看護の理解を深めてもらう目的があった。地域の公共の建物、公民館等にチラシを設置するとともに、タウン誌などにも事業内容を掲載し、市民への普及を図った。 

相談内容によって、適切な医療機関や訪問看護ステーションを紹介するなど、市民の在宅療養ニーズにこたえられるような活動をしている。

■滋賀県-コールセンター支援事業

訪問看護を利用する患者やその家族、及び利用調整を行うケアマネジャーや医療関係者等からの訪問看護利用等に関する相談窓口を設置した。窓口となる携帯電話を準備し、週2日(火曜及び水曜の9時~17時)に1人のベテラン訪問看護師(訪問看護ステーション所長)が対応することとしている。 

相談窓口の周知は、チラシと名刺サイズの案内を作成し、配布した。内容も県民用(3000枚)、ケアマネジャー用(500枚)、訪問看護ステーション用(200枚)、病院用(300枚)と分けて作成した。特に、利用者用のチラシについては、本事業の趣旨を踏まえ、苦情相談は遠慮いただくよう注意書きを入れた。

実際の電話件数は、下図のとおり。平成21年11月の開始時から現在(平成22年12月)まで、43件の相談があった。1件の電話に20~30分費やすこともあった。利用者からの相談としては、「ケアマネジャーをお願いするタイミング」「養護学校への送迎、人工呼吸器の管理について」等があったが、新規利用者の獲得には至っていない。問合せは、訪問看護ステーションからの制度や報酬の請求方法に関する相談が多く、タイムリーに回答できている。また、文章での回答を希望する事業所もあり、メールや関係書類をFAXするなど柔軟に対応している。ケアマネジャーや医師から制度に関する問い合わせが寄せられている。

■鹿児島県-コールセンター支援事業

コールセンター事業は姶良・伊佐地区および鹿児島地区で実施している。

姶良・伊佐地区では、平成21年12月に訪問看護相談窓口として専用電話を地区訪問看護支援事業代表ステーションに設置し、事務担当者を1名配置した。この電話対応者は専属だが、ステーションと兼務する形をとり、問合せがない間は病院やケアマネジャーへのアンケート調査に関する事務作業を行った。相談窓口の設置にあたり案内冊子を作成し(平成21年10~11月)、医療機関の地域連携室(約50施設)、市役所、保健所などを訪問して案内冊子を配布した(平成21年12月~平成22年2月)。また、ケアマネジャー研修の機会を利用して相談窓口の説明を行うとともに約100名に案内冊子の配布を行った。

鹿児島地区では、平成22年度から「訪問看護相談支援センターかごしま」を設置し、コールセンター業務を行っている。平成22年4月に準備を開始し、5月にセンターを設置して、6月から実際の相談業務を開始している。7月には専任の事務職員を採用した。

相談対応は電話やメール、直接面談等で幅広く対応している。当初は月曜から金曜の午前中が相談時間として、火曜と金曜については、ステーションの管理者が持ち回りで相談対応を行った(その他は事務職員が対応)。9月からは午後も対応することとした。

各地区の相談窓口の利用状況は以下のとおりである。 

相談内容としては、訪問の依頼や訪問看護事業所の紹介、請求事務、診療報酬、医療材料などの実務(訪問看護時の消毒方法、契約書・同意書等の書式、ターミナル期の同一法人内の診療日の算定方法、指示書について主治医変更があった場合の算定方法等)などがあげられた。