平成22年度老人保健健康増進等事業 24時間訪問看護サービス提供の在り方に関する調査研究事業

本事業は、全国訪問看護事業協会が厚生労働省の公募事業で内示を受けています。

 事業目的 

急速な高齢化が進むわが国では、20年後には65歳以上の高齢者が人口の30%を占めると言われている。
更に、医療技術の進歩、平均在院日数の短縮により、訪問看護の現場にも変化が及んでいる。
「日常的な医療ケア」を必要とする要介護者等が増加し、訪問看護サービスの提供実体が近年どのようになっているかを把握することは、
今後の訪問看護内容や訪問看護サービス提供体制の再検討に際し不可欠となる資料を提供することにつながる。
また、今後高齢夫婦世帯、高齢者単独世帯が増加することから、家族介護のみを当てにしない、夜間・休日も含めた24時間365日サービス提供体制の確立が求められていると考えられる。
「日常的な医療ケア」と「介護」といった利用者の多様なニーズに24時間対応するためには、看護職と介護職との連携は非常に重要であると言える。
しかし、看護職・介護職の人材不足、夜間訪問の安全の確保等の問題から、利用者の多様な訪問ニーズに対応できていない現状がある。
加えて、医療依存度の高い在宅療養者への看護は、訪問看護師1名では効率が悪く、看護師のみならず利用者への負担もが大きい場合がある。
家族の手を借りたり、ヘルパー事業所と調整して同じ時間に訪問している等の対応をしているが、
その場合、家族の休養を確保できないことや、異なる事業所間での情報交換や技術の共有が困難である等、様々な問題が生じている。
以上のことより、本事業では、「日常的な医療ケア」と「介護」が必要な状態になっても在宅療養者やその家族が、24時間安心して、尊厳をもって自立した生活を送れるよう、
①訪問看護師の業務内容に関するタイムスタディ調査を行い、その結果や過去の関連論文を基に
②訪問看護ステーションを基盤とした看護補助者との連携モデルを考案・実施し、有効な連携の在り方を検討・提示することとする。

 【事業内容】 

1.訪問看護師の業務内容の実態調査

1) 実施目的

医療技術の進歩、平均在院日数の短縮により、訪問看護の現場にも変化が及んでいる。
「日常的な医療ケア」を必要とする要介護者等が増加し、訪問看護サービスの提供実体が近年どのようになっているかを把握することは、
今後の訪問看護内容や訪問看護サービス提供体制の再検討に際し不可欠となる資料を提供することにつながる。

2) 内  容

このため、本事業では、個別の利用者に対するタイムスタディ調査を行い、
利用者宅にて行う医療処置や療養上の世話などの直接的な看護時間及び、準備や後片付け、関係者との連絡、記録、カンファレンス等の間接看護時間を合わせて把握する。
更に、看護師の提供した看護の満足度や負担感等についても把握する。

3) 対  象

訪問看護ステーションの管理者・従事者 60箇所600ケース程度

4) 実施時期

平成22年度10月頃(1週間)

 

2.訪問看護ステーションを基盤とした看護補助者との連携モデル

1) 実施目的

医療依存度の高い在宅療養者への看護は、訪問看護師1名では効率が悪く、看護師のみならず利用者への負担もが大きい場合がある。
家族の手を借りたり、ヘルパー事業所と調整して同じ時間に訪問している等の対応をしているが、
その場合、家族の休養を確保できないことや、異なる事業所間での情報交換や技術の共有が困難である等、様々な問題が生じている。

2) 内  容

このため、本事業では、訪問看護ステーション内に「看護補助者」を位置づけ、
日中の同行訪問や時間差訪問、必要時の夜間訪問等、様々な連携のモデル事業を実施することにより、今後の訪問看護サービス提供のあり方を検討する。

3) 対  象

訪問看護ステーション(10箇所30事例程度)

4) 実施時期

平成22年10月~平成23年1月(3カ月)

5) 評  価

モデル事業前後にタイムスタディ調査を実施し、直接的看護時間および間接的看護時間、並びに、看護職員の負担感等の比較を行う。
また、モデル事業前後の利用者の反応やQOL、等の比較も行う。

 主任研究者 

聖路加看護大学看護実践開発研究センター センター長・教授  山田 雅子